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最高裁判所第一小法廷 昭和31年(あ)3359号 判決

主文

本件上告を棄却する。

理由

被告人の上告趣意は、憲法二一条違反の主張を除く以外は、事実誤認の主張であって、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。

また、憲法二一条は、言論の自由を無制限に保障しているものではない。そして、原判決の是認している第一審判決判示のごとき記事を新聞紙に掲載しこれを頒布して他人の名誉を毀損することは、言論の自由の乱用であって、憲法の保障する言論の自由の範囲内に属するものと認めることができない。このことは、当裁判所大法廷判決の趣旨とするところである(民事判例集一〇巻七号七八五頁以下参照)。されば、右違憲の主張は、採ることができない。

よって刑訴四〇八条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 真野毅 裁判官 斎藤悠輔 裁判官 入江俊郎 裁判官 下飯坂潤夫)

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